「かたる」が生まれたきっかけ|開発ストーリー

開発ストーリー

「かたる」が 生まれたきっかけ

ファシリテーションを、誰もが手に取れる道具へ。
「かたる」は、20年の実践と失敗から生まれた、その場にいる人が自分たちで使えるファシリテーションの入口です。

「かたる」を使ってみたい方へ

購入・場づくりプログラム・導入相談は、公式ページから受け付けています。

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道具

使い方が分かれば、誰でも少しずつ使えるものへ。

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実践

福祉・工事・地域で試し続けた約20年。

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気づき

届かなかった経験から、入口をやさしくする発想へ。

「かたる」は、ファシリテーションを薄めたものではありません。
必要な人に届けるために、入口をやさしくした道具です。

1 道具から始まった発想

ファシリテーションも、誰もが少しずつ使える「道具」になるのではないか。

私は普段、住宅や施設の工事に関わる仕事をしています。現場では、プラスドライバーやインパクトドライバーなど、さまざまな道具を使います。

道具は、ただ置いてあるだけでは役に立ちません。でも、使い方が分かると、誰かの作業を助け、仕事の質を高め、できなかったことをできるようにしてくれます。最初は少しぎこちなくても、何度も手に取るうちに、自然と使えるようになる。やがてそれは、特別なものではなく、現場にあるのが当たり前の道具になっていきます。

私は、ファシリテーションも本来そういうものになれるのではないかと思いました。話し合いをうまく進めること。一人ひとりの思いを受けとめること。場の空気をやわらかくすること。普段あまり話せない人の言葉を引き出すこと。それらは、特別な人だけができる技術ではなく、使い方が分かれば、誰もが少しずつ使える「道具」になるのではないか。そんな思いから生まれたのが、「かたる」です。

2 人と関わる難しさを知った体験

ただ、この「ファシリテーションを道具にする」という発想に、最初からたどり着いていたわけではありません。ここに至るまでには、私自身が現場で学び、実践し、失敗してきた、およそ20年の経緯があります。

最初のきっかけのひとつは、重度障がいのある方のトイレ介助を初めて体験したことでした。それまで自分が見ていた社会とは違う現実がありました。人が人を支えること。相手の状態や思いを受けとめること。そして、関わる側の姿勢が問われること。その体験を通して、人と人が関わることの難しさと大切さを強く感じました。

3 付箋ワークとファシリテーションとの出会い

その後、NPO法人起業支援ネットが運営していた「起業の学校」に1年間お世話になりました。そこで、付箋を使ったワークや、思いを引き出し、事業計画を立てることを学びました。自分の考えを言葉にする。他の人の考えを見える形にする。出てきた意見を整理しながら、次の行動につなげていく。その学びは、私にとって大きな転機になりました。

法人のお客様から、20名ほどが働く事務所改装の計画を依頼されたことがありました。どうしたら、そこで働く全員の要望をきちんととらえることができるのか。一部の人の声だけで計画を進めるのではなく、そこで働く一人ひとりの思いや困りごとを、どうすれば空間づくりに反映できるのか。そのことを相談したところ、ファシリテーターの先生を紹介していただき、実際の現場でファシリテーションを取り入れた打ち合わせを行いました。

ピンク、ブルー、イエローの付箋を使いながら、思っていること、困っていること、こうなったらいいという希望を出してもらう。その方法によって、普段の打ち合わせでは見えにくかった声が見えるようになりました。私はそこに、大きな可能性を感じました。

4 地域へ広げようとしてぶつかった壁

付箋に書くことは、誰にとっても自然なことではなかった。

私は、自分のまわりの職人さんや事業者、地域の方々にも、ファシリテーションや場づくりの考え方を広げようと実践を始めました。けれど、そこではたくさんの失敗も経験しました。

マンションの管理会社で担当者同士の打ち合わせに参加したとき、付箋を出して意見を書いてもらおうとしたところ、「そんなことはしなくていい」と止められたことがありました。業者の会合でファシリテーションを試みたこともありました。年配の方が多い場では、付箋に書くこと自体が緊張や抵抗につながっていたのだと思います。

5 別路線で試した、記録とものづくり

動画でも、ものづくりでも、道具・手順・場の設計が人の力を引き出すと感じた。

それでも私は、地域の人やベテランの方々の力を、何とか活かす方法はないかと考えていました。ファシリテーションがうまく届かない場面がある中で、地域のベテランのキーパーソンにインタビューを行い、動画として記録する取り組みも試しました。

実際に話を聞いてみると、その人ならではの経験や価値観、地域への思いが見えてきました。一方で、動画にするには、撮影、編集、日程調整、公開の確認など、多くの時間と労力が必要でした。価値はある。けれど、誰もが継続的に取り組める方法ではない。その難しさも感じました。

また、若者と一緒に現場工事を行う、ものづくりのワークショップを開催する機会もいただきました。この取り組みでは、私自身が説明書とプログラムを作り込み、作業の流れを見える形にし、若者たちが自分で考えながら動けるようにしました。参加した若者たちは、自主的に、そして活発に作業する姿を見せてくれました。

この経験を通して、私はあらためて感じました。人は、ただ指示されるだけでは力を発揮しにくい。けれど、分かりやすい道具や手順、安心して関われる場があると、自分の中にある力を出しやすくなる。人の力を引き出すには、場の設計と、誰でも扱える道具が必要なのではないかと考えるようになりました。

6 一昨年末の大きな失敗

外から来た人間では入れない領域がある。そこに大きな気づきがありました。

特に大きかったのは、一昨年末の失敗です。ある団体の会議で、ファシリテーションをする機会をいただきました。しかし、付箋に書くことを拒否される方もいて、場の空気もあまり良いものにはなりませんでした。一方で、数名の方からは「今まで言ったことがない意見を言えた」という反響もありました。それでも、全体としては不評でした。

呼ばれて出向いた先でありながら、私は「外部の人間」として扱われました。その場の関係者でなければ入れない領域がある。そのことを、強く感じました。

付箋に自分の考えを書くことが、日常ではない人がいる。意見をこの形式で出す経験がない人がいる。そもそも、このやり方を楽しいと思わない人がいる。そして、それは一部の人ではなく、むしろ社会の大多数なのかもしれない。私はそれまで、ファシリテーションの効果を信じていました。でも、その希望は一度、大きく打ち砕かれました。

ファシリテーションは大切です。効果もあります。けれど、そのままの形では届かない人がいる。むしろ、こちらが良いと思っている形式そのものが、相手にとっては負担になることもある。また、外から来た誰かが、その場をすぐに変えられるわけでもありません。その場の関係性や空気を知っている人でなければ、入れない領域がある。外部の専門家が一度入るだけでは、届かない場所がある。そのことも、強く感じました。

7 だから「かたる」という道具へ

その場にいる人自身が、少しだけファシリテーションの力を持てる道具へ。

その失敗の中で、私は考えました。もっと簡単にできないか。もっと手に取りやすくできないか。付箋に書くことや、意見をまとめることから始めるのではなく、ただ一枚のカードを手に取り、そこにある問いから、少し話してみる。そんな形にできないか。

ファシリテーターを外から連れてくるのではなく、その場にいる人自身が、少しだけファシリテーションの力を持てるような道具にできないか。ファシリテーションを、特別な人だけが使う技術ではなく、プラスドライバーやインパクトドライバーのように、使い方が分かれば誰でも少しずつ使える道具にできないか。そう考えたことが、「かたる」の出発点です。

「かたる」は、ファシリテーションを薄めたものではありません。20年かけてファシリテーションの可能性と難しさを見てきたからこそ、その入口を、できるだけやさしく、手に取りやすい形にしたものです。

うまく話せなくてもいい。まとまっていなくてもいい。付箋に書けなくてもいい。意見として整理できなくてもいい。まずは、自分の中にある思いを、少しだけ言葉にしてみる。そして、その言葉を誰かが受けとめる。そこから始まるファシリテーションがあってもいい。「かたる」は、そんな気づきから生まれた道具です。

8 「かたる」に込めた願い

一人ひとりの思いが言葉になり、その言葉が誰かに受けとめられ、人と人とのあいだに、少しずつ安心やつながりが生まれていく。

ファシリテーションが、特別な場だけのものではなく、福祉の現場、教育の場、地域の集まり、職場、家庭の中で、当たり前に手に取れる道具になること。それが、「かたる」に込めた私の願いです。

次にできること

「かたる」を使って、場づくりを始める。

「かたる」を購入したい方、施設・学校・地域・職場での活用を相談したい方は、公式ページからお問い合わせください。

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